一般社団法人 宮大工養成塾

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宮大工への道 伝統技術の修行と学び 01

1. 宮大工とは 職人の世界への扉

日本の伝統的な建築を支える宮大工は、まさに職人の世界への扉を開く存在です。木造建築の妙技を極め、神社や寺院など、重要な文化財を築き上げています。その技術は単なる建築技術だけにとどまらず、日本の美意識や精神性を形にしたものでしょう。日々の努力なくして、我々の文化的遺産は生まれていません。

1.1. 宮大工の仕事と必要性

宮大工の仕事は、神社や寺、城などの伝統的な木造建築を作り上げることです。単に建造物を建てるだけではなく、歴史や伝統に基づいた形式美を追求し、後世に残る文化財を生み出そうとする責任を負っています。また、使用する木材の選定から、組み立てに至るまでの全ての工程において最高の技術が求められます。さらに、天災や時間の経過による建物の劣化に対し、修復や再建の技術も必要とされ、ただ作るだけではなく、後世に継承していく事を視野にいれた仕事が必要とされています。しかし、その技術は、今日やって明日できる仕事ではなく、1日1日の積み重ねがあってこその技術といえます。

1.2. 宮大工の歴史と文化的重要性

宮大工の歴史は古く、日本に昔からある高床式倉庫などの木造建築技術に飛鳥時代に伝来した仏教の寺院建築技術が融合した事により誕生した事から始まります。古事記や日本書紀などの神話に登場する本当に存在したか不明とされていた建造物についても、出雲大社本殿前の地中から発掘された3本の柱をまとめて1本の柱とした宇豆柱が出土し、実際に存在した事が近年の発掘調査によって解明されています。宮大工は技術だけでなく、職人としての倫理観や美意識も受け継いできました。時を経てもその技術は脈々と受け継がれ、現在に至るまで日本の建築文化を支えています。1400年もの間、継承されてきた建築物とそれを造る技術は世界でも例がなく、ユネスコ無形文化遺産に宮大工が技術が認定されています。宮大工が築いた建物は、それ自体が文化や歴史を物語る博物館のようなものであり、日本だけでなく世界の人々にも価値を認められる文化遺産であるのです。

1.3. 現代における宮大工の役割

現代でも、宮大工は伝統的な技術を保持し続ける重要な役割を担います。高度な技術をもって、我が国の伝統建築を新築、修復、維持していくことで、日本が誇るべき文化遺産を次世代に伝えていきます。これまでの飛鳥時代から構造・意匠・道具などの進化があり、近代に入ってからの技術革新としては昭和の木工機械導入による作業の効率化がありましたが、それ以降は目立った出来事がありません。昨今は、宗教法人が減少する中、それ以上の速さで宮大工も減少し、神社仏閣を後世に繋ぐ事が困難な状態にあります。最大の原因は、若手宮大工の圧倒的な不足。若手宮大工のリクルートをめぐっては、各宮大工企業が争奪していますが、昔のような徒弟制度が無くなってしまった現代では、若手宮大工の養成が最重要課題とされています。若手宮大工養成する教育機関として、当塾の金田塾頭が発足した宮大工養成塾が広まる事で、若手宮大工の養成を通じながら地域の神社仏閣を修復及び新築し、宮大工の伝統技術が継承されていく事が期待されています。これからも変わり行く社会の中で、宮大工の技術と精神は日本の文化を照らす一筋の光となっていくでしょう。

2. 宮大工になるための教育機関

日本の伝統建築技術の粋を集めた宮大工。その技を継承するための教育機関は、技術習得に特化した特殊な存在です。職人としての厳しい修行と学びが求められるため、入学する際には高い熱意と覚悟が必要となります。宮大工を目指す若者たちのために設けられた専門の教育機関を通じて、日本の伝統建築を支える重要な技術を身につけていくことができるのです。

2.1. 国内の宮大工を目指せる学校一覧

代々受け継がれる伝統技術を学ぶ学校は、全国にわずかしか存在しない希少な教育機関です。例えば、静岡県にある「日本伝統建築専門学校」や、新潟県の「SADO伝統文化と福祉の専門学校」などがあります。これらの学校では、一般的な建築専門学校で座学と実習を行い、就職先に宮大工の企業も沢山あります。一方、2016年に開校した現役の宮大工が実践を通じて教える「宮大工養成塾」では、徒弟制度をベースにプロでも通用する技術・礼儀・メンタルを3年間の住み込み修行で学び、宮大工企業に即戦力として雇用してもらえる教育機関も誕生しました。宮大工ロードマップを基準として、優秀な若手宮大工を養成する機関として、全国の宮大工企業から4年目の宮大工として来てほしいという声が上がる程、その実績は業界からも認められる存在になっています。

学費や入学条件など、各学校によって異なるため、個々の詳細は各学校の公式ウェブサイトや資料請求によって得られる情報を参考にすると良いでしょう。

学校一覧

静岡県 「日本建築専門学校」

新潟県 「SADO 伝統文化と福祉の専門学校」

大阪府・兵庫県・神奈川県 「宮大工養成塾」

2.2. 学校選びのポイント

宮大工になるための学校選びでは、複数の観点から慎重に考える事が重要です。まず重要なのが、教育内容の充実度です。①基礎教育から実践技術まで幅広く学べるかどうか②また実際の現場での研修がどのように組み込まれているか③卒業した時に実際に宮大工として通用するか?などがポイントになります。加えて、卒業後の進路支援や就職先の実績も確認しておくべきですが、現在は若手宮大工が不足しているので、能力さえあれば、引く手あまたの状態といえます。宮大工として活躍するためには、修行を積む職場の決定が非常に重要なので、実績ある学校を選ぶことが成功への近道になるでしょう。さらに、学校の立地や環境も重要な要素ですので、実際に足を運んで体感することもお勧めします。

2.3. 学校の教育カリキュラム

宮大工として必要な専門技術と知識を学ぶためのカリキュラムは、各学校によって異なります。基本的には、専門学校では座学と実習があり、両方を学んでいくという事になります。宮大工養成塾では、4年目の宮大工として就職する事をゴールとして、宮大工ロードマップによって1年生・2年生・3年生の必須事項が体系化されており、個々の成長のスピードに合わせて課題に取り組んでいきます。また、それとは別に、日々宮大工が実際に作業する刻みや現場作業を一緒に行う事でプロの宮大工から直接学ぶ事が可能になります。プロの宮大工と一緒に生活し、一緒に作業するからこそ、4年目の宮大工として宮大工企業から重宝される職人になれる教育カリキュラムになります。

3. 実践を重ねる修行の道のり

修行の道は単なる技術の習得だけではありません。日々の作業を通じて、己を磨き、真の職人としての精神を培っていくことが求められます。初心者が未知の世界に足を踏み入れる時、最初はわからないことだらけでしょう。しかし、その一歩一歩が大切なのです。経験を積み重ね、失敗から学び、反省を糧にして成長していかなければなりません。現代の教育では、子供に失敗させません。失敗をしない子は、失敗する事を恐れ、成長しません。宮大工養成塾は、プロの宮大工になる前に、1人の社会人として自立する事がベースとしてあります。人として信頼される人間になるということは、職人としての職責も果たせるというものです。失敗は悪い事ではありません。失敗した後、どうするのか?それが人間的及び職人としての成長に繋がる大切な一歩になるのです。

3.1. 見習い期間の過ごし方

見習い期間は、基礎となる知識と技能を学ぶ大切な時期です。日々の作業を通して、道具の名前や使い方、材料の特性など、基本的なことから少しずつ覚えていきます。また、単に手先の技術を習得するだけでなく、先輩たちの働きぶりを観察し、職人としての姿勢や考え方を自分のものにすることも重要です。見習い期間は、いずれ独り立ちするための礎を築く時ですから、どんな小さな仕事でも真剣に取り組むことが大事です。繰り返し行う日常作業の中で、より良い方法はないか、どうすれば効率よく、質の高い仕事ができるのかを考え、工夫していくべきです。

一般的に、専門学校を卒業すると宮大工企業では見習い期間からスタートします。専門学校を卒業したのに、なんで見習いなんだ?と思われる方がほとんどでしょう。しかし、卒業してからプロの宮大工と一緒に仕事をすれば分かります。技術の差が一目瞭然です。専門学校は、あくまでも学校です。仮に技術があったとしても、宮大工の文化や礼儀も知りません。だから見習いを通じて学ぶ必要があるのです。それだったら、通用する宮大工を養成すればいいんじゃないか?といって作られたのが宮大工養成塾になります。実際に、宮大工養成塾を卒業した塾生は、宮大工企業に4年目と宮大工として受け入れをされています。これが真実です。しかし、そのためには、宮大工ロードマップによってやるべき事をやって4年目の宮大工として活躍できるだけの能力得るために犠牲を払う必要があります。

3.2. 技能の習得プロセス

技能を習得するためには、長い時間と辛抱強い努力が必要です。まず、基本的な技術の習得から始め、地道に実践を積むことが不可欠です。手を動かしながら、頭で理解することで、身体全体がその技術を体得していきます。初めは稚拙な動きでも、継続することで徐々にスムーズかつ高度な技術へと進化していきます。プロの職人へと成長するには、繰り返しの実践の中で、自分自身の作業スタイルを確立し、細かなコツを掴んでいくことが欠かせません。修行は単調な作業の繰り返しと捉えがちですが、それぞれの経験の中に新たな発見があるため、日々新鮮な気持ちで臨むことが大切です。宮大工の仕事は、今日やって明日できるものではありません。しかし、小さな努力の積み上げの結果、下たる水が石をも貫くように、大きな力を得る事になります。

3.3. 先輩宮大工から学ぶこと

高度な技術を持つ先輩宮大工から学べることは計り知れません。言葉を交わすだけでも、その豊かな経験と深い知識から多くを吸収することができます。プロの宮大工または、プロの宮大工を本気で目指す彼らの手仕事は、単なる作業の流れを見るだけでなく、その背後にある哲学や精神を理解する手がかりを与えてくれます。先輩がどのようにして障害を乗り越え、クオリティーの高い作品を生み出しているのか、そのプロセス全体に目を向けながら学ぶことが求められます。直接指導を受ける機会を得た時には、その価値を十分に理解し、謙虚な姿勢で吸収することが大切です。また、彼らの仕事に対する情熱や業界全体への貢献など、職人としての生き方そのものを学び取ることも大いに意義があります。どんな人でも始めは素人からスタートします。色んな失敗や挫折を乗り越えながら、成長していくものです。修行というのは、1人では出来ません。同じ境遇で学ぶ仲間がいるからこそ、自身を鼓舞する事ができるのです。人は弱い生き物です。しかし、経験によって強くなっていきます。強い力を手に入れたならば、それを弱い者を助けるために使いましょう。強い者もまた弱いのです。

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