一般社団法人 宮大工養成塾

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宮大工養成塾 塾生の1日 大阪本校#02

宮大工作業
大阪本校工場での作業

朝礼が終わると、作業が始まる。8時から18時までの作業で、休憩は10時と15時に30分ずつと12時からの1時間の食事休憩。休憩中といえど、使った刃物がキレなくなったらば、研ぐなど、次の作業を進める準備を優先してからの休憩が基本的な姿勢である。

個々に任せられた作業

宮大工養成塾では、その人にあった作業を言い渡されます。いきなり大きな仕事を任せられるのではなく、「職人の心得集」をいかに実践できているかによって与えられる作業が決定し、どれだけそれに真剣に取り組んでいるのかを見られています。職人の心得集は、職人になるために必要な項目を見える化したもので、礼儀礼節や役割について記述があり、これを実践する事が職人になるための近道とされ、指導しています。

道具の準備

職人が仕事をする上で、道具の準備ができていないというのは、避けなければならない。自分が何をするのか?事前の予測して、道具を準備をしておく必要がある。鉋削りの作業があると思うのであれば、鉋を仕込み、削れるように台の調整から刃研ぎまでしておく必要がある。「この部材を仕上げて下さい」と言われた時に、鉋の台直しをしているようでは、いけない。すぐさま鉋を取り出して、削って見せるのが、職人であり、そういった道具の準備をしておく事が礼儀である。

丸柱を誰が削るのか?!

工場に八角形の柱が入ってきたとします。会話の中で、丸柱の話などがでてきていれば、丸柱を削る仕事があるので、当然ながら丸鉋が必要な訳です。この仕事をどうしてもやりたい場合、どの大きさの丸鉋が必要なのか?を現物から推測し、平台の鉋を潰して丸鉋の刃に加工し、台も一から丸鉋用に台打ちし、丸鉋造りがはじまり、想定される大きさの木材を剥ぎ合わせて練習台に作り、試し削りを行ったりと、自習の時間や休憩の時間を使って道具の準備をします。「先輩がいるから、僕はまだいいかな」とか考えているようでは、職人としては負け。職人に年齢や経験年数は関係なく、自分がどれだけ行動し、熱意を伝えれるのか!?という所が大切で、挑戦する心がなければなりません。「僕はやった事がない、やり方を知らない」というのは、どうでもいい。失敗してもいいから、何を考えて、何をしたのか?という事の方が非常に大切なプロセスであるが、失敗をさせてもらえない環境に育った子には、これは恐怖でしかない。しかし、これをブレイクスルーしなければ、真の意味での自学自習を構築する事はできない。宮大工養成塾は、「自学自習」を大切にしています。

宮大工の評価システム

宮大工養成塾の絶対的な価値観は、「職人の心得集」という指針になります。宮大工の地位を4階層(大工・引頭・長・連)の上中下の3段階に分けて、計12の階級があります。職人とは、「長」という階層以上からになりますので、宮大工養成塾では、「連」という階層の3段階を取り扱いします。新規門下生は、12の階級からのスタートとし、日々の修行の様子をみて、11・10の階級へと昇格し、卒業までに「長」の階層になれるように鍛錬します。この仕組みは、年功序列ではなく、完全な実力によった評価方法で、2年生であっても認められなければ、昇格する事はできません。人によって昇格のスピードは違いますが、もがき苦しみながらも、昇格する事に意味があると思います。これは、宮大工の神様である聖徳太子が定めた冠位十二階という制度からヒントを頂き、世襲や血筋などによって評価はされずに、能力に応じて評価させる平等な仕組みを作りました。勘違いしてほしくないのは、出来ていないのだから駄目だという事ではありません。出来ていないのであれば、出来る様に一緒になって活動するのが宮大工養成塾になります。しかし、本人が本気にならないと出来ないのですが、これは門下生と運営側の戦いでもあります。泥臭いアナログ的な活動ですが、これは避けれない問題として認識していますので、時間のかかる対話になります。

「考える」という事

何か作業をしていると上手くいかない。こんな道具を作りたいけど作り方をわからない。全くの新分野であれば、そうかもしれませんが、宮大工養成塾では、答えをすぐには教えません。これは0から1を生み出すという事ではなく、それができる様になるために必要な情報だけ与えて、そこからは各自に考えさせます。写真は、プレナーを使って直角を出す作業をしていますが、鋭角に仕上がってしまい、なかなか直角にならなくて困っている状態です。なぜ何回しても鈍角になるのか?どうやって機械は動いているのか?などを考えて、どのようにしたら、直角にしやすくなるのか?を考えるものでした。現在は、便利な社会でして、スマホですぐ調べたりすれば、答えが出てくるので、考えるという能力が習慣化された子はいません。この能力を伸ばすために、必要な情報だけ教えて、あとは考えて能を活性化させます。心の中で、「時間が経てば先生が教えてくれる・・・」と思っている門下生はすぐにわかります。こちらも答え教える事を我慢し、どのように考えたか?を問います。その問答が最終局面に達した時、おのずの答えが導きだされています。人は、早く答えを教えろと言いますが、「考える」という事が習慣化されれば、多くの問題を解決する事が出来ます。社会にでて必要なのは、問題解決する能力になります。出来ない理由をいう事は、誰にでも出来る事で、以外と前向きに考えて解決しようという想いがあれば、簡単に答えがでるものです。

若い時に苦労した方が良い

宮大工養成塾に来る子は、中学・高校を卒業した子がきます。早いうちから宮大工を志し、同世代が楽しく学生生活を送っている中、その誘惑に耐えながらも自分の将来のために辛抱する姿は尊敬に値します。私も修行中、同じ経験をしたので、彼らの心境もわかりますので、今苦労した分、将来は第一線で活躍できると思いますし、そのように育ててあげなければならないという気持ちで日々指導しています。辛抱して努力していく彼らを成功させてあげたいからこそ、こちらも甘やかす事は嫌なのです。いつも思うのですが、道具屋さんがやってきて、門下生が道具を見て触っている時の楽しそうな表情が「本当に好きなんだなぁ」と思います。宮大工なりたいとか大工仕事が好きなどというのは、誰でも言える事ですが、日々の積み重ねを経てまでそう思えるのか?という所で、それは言葉とかではなく、表情だと思います。宮大工養成塾は、専門学校ではありません。ここは、プロの宮大工になるための場所なので、そこは一線を引く所です。

夕食と食べてから・・・

15時半、食事当番の子は夕食の準備を始めて、18時に夕食を食べます。正座で音を立てないように黙食で「食べる」という事に集中すると、色んな事が神経が使われます。この後、30分ほど座禅をして一連の作業が終わりですが、、、ここからが自分の将来に投資する時間・・・、そう自習の時間になります。自習は自由ですが、この時間をどう使うのか?なぜする必要があるのか?という所を自分に落とし込む事が大切になります。

次回は、夜の自習についてレポートしたいと思います。

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宮大工養成塾では、大阪本校・兵庫校・神奈川校にて宮大工体験を実施しています。現役の宮大工が1対1で行う宮大工体験は宮大工養成塾だけ!!宮大工について五感を使って学びましょう^^体験に関する詳しい内容や各校舎の体験予約は、宮大工養成塾のホームページをご覧ください

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