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宮大工にために実践すべき「職人の心得集」の中に、「人の嫌がる仕事を率先してできる人から仕事があります」と言葉があります。これは、人の嫌がる仕事を率先してできる人は、心が豊かな証拠で、心が豊かでないと、良い仕事はできません。良い仕事をしようと思うのであれば、人の嫌がる仕事ほど率先してできる人になりましょう。というのが基本的な解説になります。
今回は、これをもう一つ、踏み込んで解説していきたいと思います。
人の嫌がる仕事というのは、自分にとっても嫌な仕事という事になります。自分を客観的にみる事は難しく、その場合、周囲で起きている現象が、自分でも起きていると認識すると、客観的に物事が考えれるのではないかと思います。
日々の生活をしていると、色んな意思決定が行われています。その意思決定の中で、周囲もやりたくない(自分も)意思決定があった時に、「Yes!!」か「はい」ととりあえず言葉にする練習をしましょう。例えば、宮大工を志す門下生の中で、一番嫌なのが、食事当番。「来週の食事当番は、誰がしますか??」といわれたときに、脳は、「めんどくさい、やりたくない」となる方が多いですが、脳が考える前に「はいっ、私がやります!!」といってしまい、既成事実を作る事により、自分に打ち勝つ方法です。当然、好印象になることは、間違いないので、率先的にした方が良いのです。ちなみに、いずれは食事当番が回ってきますので、やることには変わりがないので、意思決定によって、「やる気」という姿勢を示すことができるのです。ネガティブな状態からポジティブな状態に変化させる事ができたのは、非常に大きな事です。もう一つ、ケーススタディを。
仕事で成長する時というのは、自分が確実にできる技量よりも、背伸びしてできるか?できないか?くらいの仕事をした時に、人はもがき苦しみながら成長します。実際にあった話です。門下生全員が幅広の板の鉋掛けをまだ出来ない頃、神棚の幅広板を削る仕事がありました。吉野檜 無垢柾目の剥板 赤身 年輪指定幅500㎜長さ1600㎜の木材です。数十万はする木材を、誰か仕上げたい人いますか??と問うと、誰も手を挙げませんでした。
恐らく門下生の心の中は「やってみたいけど、うまくできるか不安。失敗したら怒られるかもしれないし、どうしよ、、、責任とれないしな><」という感じだったと思います。
世の中では、チャンスと出会えるのは「運」といってもいいくらい、チャンスの機会は少ないです。そして、そのチャンスは、現れたとしても一瞬で消えてしまいます。まるで、ドラクエでいうならば、はぐれメタルと同じです。小さなチャンスであれば、メタルスライムみたいに、まだゆっくりしてくれますが、大きなチャンスは、はぐれメタルみたいに、一瞬で消えてなくなります。だからこそ、考えるまでもなく、「はい」といった方がお得になります。話が脱線しましたが、この神棚の幅広板を削る時の意思決定も同じです。確実に出来ると思うからさせようとしている訳ではないのです。ただし、一生懸命もがき苦しみながらすれば、何か得る事があるので、させようとしている訳です。
誰も手を挙げなかったので、こんな話をした後に、もう一度、問いました。
誰も手を挙げず、周囲の門下生同士の顔色を伺いながら、モジモジする門下生。すると、一人だけ「自分にやらせて下さい」という門下生が!?内心、「遅っ」って思いましたが、自分の中で意思決定できたのは、非常に素晴らしい事かと思います。結果、その門下生が、もがき苦しみながらも板を削り、鉋のレベルが少し成長した事と、幅広の化粧板を削ったという実績を得る事が出来ました。
宮大工は、いい仕事を与えられないと成長しましせん。自分が出来る仕事を与えられている内は、あまり成長していないという事になります。そして、そんな仕事を与えられるような日々の取り組みや姿勢がないという事もいえます。いい仕事を与えられるためには、どんな時でも「はい」といい、ポジティブな姿勢です。物事に取り組む姿勢や態度は、自分に良い仕事をもたらします。
脳は、安定を求めるため、嫌な事から遠ざかる性質があるので、脳が判断する前に、「はい」といえるポジティブな姿勢を実践する。そうすると、色んなチャンスを得る事が出来て、もがき苦しみながらも何とかこなすことで、成長し、実績が増える。成長するという事は、脳が快感を覚えて、どんな時でも「はい」と言ってしまう習慣がついてしまう。意識を変える事は、かなり難しいです。実践による行動を起こすことで、意識を変えていきましょう。 以上
【完全予約制】
開催日:毎週日曜日 午前の部9:00~12:00 午後の部 13:00~16:00
内容:質問コーナー、刃物研ぎ、鑿(のみ)で穴彫り、鉋掛け、模型組立