一般社団法人 宮大工養成塾

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檜皮屋根の駒額を丸くする事例

2024.04.26

銅板葺き及び植物系屋根の駒額(こまびたい)と呼ばれる部分の細部意匠について解説を行います。

一般的には、写真にあるように駒額は外側にやや勾配を付けて平面を持ちますが、ここの納まりが丸く加工する事例があるので紹介していきたいと思います。

瓦葺きの場合は、拝巴が取りつく場所になりますが、植物系屋根の場合は、駒額という風に呼び方が変わります^^

植物系屋根の種類について

檜皮葺きの事例

桧の樹皮を屋根材として葺い屋根

(国宝)苗村神社 西本殿

徳治3:1308:鎌倉後期:三間社流造

茅葺きの事例

チガヤ・ススキなどを使って葺いた屋根

(重文)苗村神社 楼門

大永2:1522:室町後期:三間一戸楼門

杮葺きの事例

椹(さわら)や杉などの薄い手割りの板を葺いた屋根

栃葺きの事例

杉・ヒノキ・栗などの厚い板で葺いた屋根で、杮葺きよりも厚く、板を葺いているようなもの。

延暦寺 (重文)根本中堂回廊

寛永17:1640:江戸前期:桁行折曲り四十一間、梁間二間、一重、両下造

厚板葺きの事例

杉及び檜の板を使って葺いた屋根

室生寺(重文)御影堂

室町前期:1333-1392:桁行三間、梁間三間、一重、宝形造

銅板屋根の出現

前述の植物系屋根は、瓦屋根と比べて意匠性及び曲線自由度が高いですが、耐久性面に難があります。植物系屋根の意匠を用いて耐久性を向上させたものが銅板葺き屋根となります。

中には、軒付のみを植物系屋根として、それ以外は銅板葺き屋根とするハイブリットなものも出現し、これは、初めからこのような設計だったわけではなくて、植物系屋根の耐久性に難を感じて、銅板葺きへと変更する場合、軒付は従来通りに植物系として、それ以外は銅板に変更する手法としてコストを掛けないように施された修復手法のひとつと言えます。

駒額とは

改めて、今回の話は植物系屋根(銅板含む)の駒額部分の細部意匠の特殊事例について解説をしていきたいと思います。駒額とは、鬼板の前になる軒付の拝む部分の上端のやや傾斜のついた部分をいいます。

なぜ駒額という?

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