一般社団法人 宮大工養成塾

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第3章 鑿教訓 1節 基礎編 基本的な使い方

2023.08.30

今回は、鑿の基本的な理論と練習方法について解説していきます。

鑿とは?

木材を成形加工するために使う道具になります。

・叩いて穴を彫る

・突いて表面を仕上げる

・彫刻を彫る

といった様々な使い方があるので、それに応じた種類の鑿があります。

鑿の構造

鑿の種類

大入れ鑿

 一般的な鑿で、10本組(1分2分3分4分5分6分8分1寸1寸2分1寸4分)などがあります。

叩き鑿

 大入れ鑿よりも首と穂が長くなっており、ほぞ穴などを彫る時に使います。強く玄能で叩いて穴を彫るので、その衝撃に耐えうるように、若干太くなっています。

差し鑿(薄のみ)

 薄い鑿で、突いて仕上げて使う鑿になります。突く事に特化しているので桂はありませんが任意に突けることは可能です。中級編でもある端部装飾である鎬突きの時などに使います。

首長鑿(穴屋鑿)

 叩き鑿の首が長いもので、深い穴を彫ったり、突いたりすることができる。

突き鑿

 叩き鑿の穂の長さくらいで、体重を乗せて突けるようになっている鑿をいいます。体重を乗せて使うので、穂と首が頑丈に作られています。長さは、1尺程度のものから大きなもの(大突き鑿)まであり、特に柱・梁などの大きい部材を刻む時に威力を発揮します。

鏝鑿

 左官屋さんが壁を塗る鏝の形状に似た鑿で、敷居の溝を突いたり、蟇股の凹んでいる部分に裏を沿わせて仕上げたりすることが出来ます。逆鏝という更に特殊な鑿もあります。

斜め鑿

 平鑿の刃先を斜めに加工した鑿で、桁の落ちかかりの蟻を刻む時などに使う

丸鑿

 外丸鑿と内丸鑿があり、丸鑿×上記の鑿の種類の分類があります。内丸については、中級編以降で詳しく解説していきます。

必要な物

 今回の基礎編では鑿の基本的な使い方を学んでいきます。

叩き鑿8分・玄能・刻み定規・自由矩をご用意下さい

鑿の仕込み

 鑿は使う前に必ず桂を仕込んでから使いましょう。桂の仕込みをしないで使うと、桂が変形し、カチカチ音がずっと鳴ります。また、柄をメンテナンスするときにも桂が変形してしまうと桂を取る事が難しくなるので、すぐ使いたい気持ちはわかりますが、桂を仕込んでから次の項目に進んで下さい。

作業中の姿勢について

鑿で木材を刻む時は、基本的には材料に腰かけて刻みます。高い馬において立ったまま刻む事もありますが、初めの内は、腰かけて刻む事で正しい姿勢を身に着ける事が出来ます。正しい姿勢で作業を行う事で効率的に体を使う事が出来る事と長時間の作業が可能になります。悪い姿勢だと腰が痛くなったり、効率が悪くなったりするので姿勢は重要なポイントになります。

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