宮大工の技術習得における過程について、脳科学的な側面から解説していきたいと思います。
何においてもそうですが、人の学びとは、出来ないことがあったとしても、反復する事により、出来るようになります。しかし、何回も出来ないケースに出くわしているのにも関わらず、いつまで経っても出来ない人の共通点があります。
脳の原則 その1 脳は、一度に3つ以上のものを記憶できない。誰かに、外国人の名前を3つ言ってもらい、記憶してから、そのあと、さらに3つ記憶してみましょう。数分後、いくつ答えられるでしょうか?答えれた人は、記憶力が良いですが、それは少数でしょう。
脳の原則 その2 脳は、時間が経つと、忘れる。エビングハウスの忘却曲線では、
人は何かを学んだ時、
とされています。つまり、先ほどの外国人の名前を覚えたとしても、ほぼ忘れているという事になります。実際に、何か出来ない事があったとして、その時には、出来るようになろうと思っても、その事すら忘れてしまっているので、課題としての認識がないため、反復練習をして自分のものにしようという事が出来ないという事になります。
上記にあるように、脳は忘れるという事を前提にするならば、メモをすれば良いという事です。門下生にも、メモしたか?と良く聞きますが、メモを習慣化できている人は、少ないです。手のひらにメモを引っ付けとくくらいの覚悟で、メモメモマンになる事が、忘れない方法です。また、メモをする事で、相手の話を正確に聞こうという変化も現れて、聞き間違いや質問力もUPします。
何か出来ない事があれば、それは自分自身が成長するチャンスでありますが、何もしないと結局は同じこと。実際に、それが出来るように考えたり、反復したりして、体に覚え込ませるという事が大切です。ロープの結び方が出来ないのであれば、無意識に出来るようになるまですればいい。紙垂がおれないのであれば、できるようになるまですればいい。継手が出来ないのであれば、小さな端材で練習をすればいい。実際にする事で様々な課題がでてきて、それを克服するために努力し、成長するのです。課題があるだけではダメ。それを克服する行動が伴っていないと全く意味がないのです。
脳は、考えるためにあります。当然、記憶をする事が出来ますが、記憶だけに使っているのは、非常にもったいないです。脳は、考える事に最も価値を見出します。何かの課題を克服する時、記憶情報を引っ張りだします。しかし、頭の中がいっぱいになると考えるという所までいきません。では、どうしたらいいのか?答えは簡単です。頭にある情報をホワイトボードに書き出していけばいいわけです。頭の情報をホワイトボードに書き出す事により、脳が考える事に専念する事が出来ます。「考える」という事を習慣化する事により、脳が活性化し、色んなアイデアが生まれてきます。しかし、考えるという習慣がなければ、頭が硬くなっているため、なかなかアイデアがでてきません。それでも、使わないと劣化していきますので、頭から煙がでるくらい考えて、徐々に柔らかくしていきましょう。
脳が忘れるという事を前提にメモをする
メモをするだけでは、意味がないので、行動に移す
脳は考えるもの。情報は、アウトプット。